「距離感」

今回のテーマは『距離感』
家づくりで大切な事の一つそれは距離感です。

距離感にもいろいろありますが、まずは近隣の人達との距離感。
建て替えの場合は隣り近所との関係性は既にわかっていると思うので問題はないと思いますが、
土地を購入して家を建てる場合には、まだ見ぬお隣りさんとの距離感を考えなくてはいけません。
まずは両隣りと前後の家の作りを見ます。

基本としては窓の位置、玄関の位置、バルコニーの位置、駐車場の位置など。
それらを考慮して間取りや窓の位置を考えていけば、玄関を出た瞬間に顔を合わせてしまったり、
洗濯物を干すたびに『こんにちは!』となってしまう事も防げると思います。

そして建物の作りとは別にお隣りさんがお庭をどんな風にしているか、
家のメンテナンスをちゃんと行っているかなども、
そこにどんな人が暮らしているかを想像できる要因だと思います。

ガーデニングを楽しんでいる人には、植物が日陰にならないように配慮したり、
車の排気ガスがかからないように駐車場の配置を考えたりする事が必要でしょう。

これはあくまでも想像になりますが、庭や家をとても綺麗にしている人は少なからず神経質な人もいると思うので、
敷地から物がはみ出ないように境界のフェンスをしっかりと設置したり、外廻りの水の排水をしっかりとして
お隣りに水が流れないようにとの配慮をする事で、お互いに適度な距離感を保てる事でしょう。

そして自分はフレンドリーな性格だから隣とのフェンスもいらないし、道路境界の門や駐車場のゲートもいらない。
さらに家の中を見られても自分は全然気にならない!と思っている人もいるでしょう。
でもお隣りさんが同じ性格とも限らないので、ほど良く距離感を保った家づくりを心がけるといいと思います。
逆にお隣りさんと関わりたくないからといって、いきなり大きな目隠しのフェンスを設置してしまうのも
相手に不快感を与えてしまう可能性もあるので気をつけましょう。

できればフェンスなどを設置する前にお隣りさんと話し合ってお互いにとってどんな形状のフェンスがいいのかを
決める事が望ましいと思います。
そうする事でそこで暮らす前から、この人は近所付き合いの距離感を考えてくれている人なんだと
感じてくれる事でしょう。

そして今度は家の中での距離感について。
家づくりの相談で多く言われる事の一つがキッチンから全てを見渡せるようにしたい!
との要望があります。はたしてその距離感は家族や遊びに来たお客さんにとっての良い距離感なのでしょうか。
例えば食事の後にゆっくりとテレビを見たい時に、すぐ隣りで食後の洗い物などをしていると、
テレビの声が全然聞こえない事でまったりとくつろげなくなってしまう事もあります。

また家族の誰かがLDKの一角などで勉強をしていたり、持ち帰りの仕事をしていたり、
読書や調べ物など落ち着いて何かをしている時などもすぐ横で大きな音でテレビを見たり、
音楽を聞くなんて事も集中している人に対して申し訳なくて我慢する事になると思います。

そんな時の方法として、常に視界には入っているけど音はシャットダウンするような作りにするとか、
気配は感じているけど、はっきりと全体が見えないように間取りや空間を考えるなど、
さまざまな工夫をする事で多少なりとも、家族間の距離感をほどよく保つ事ができると思います。

また物理的な距離感としての話。
例えば洗濯物について、普通洗濯物は南側の日当たりの良い所に干すと思います。
そこで洗濯物と洗濯機の距離、または洗濯物とクローゼットとの距離どちらが近い方が正解なのか。
干す前の濡れた洗濯物を運ぶ距離が短い方が楽なのか、乾いた後の軽くなった洗濯物を
運ぶ距離が短い方が便利なのか難しい所です。

なぜなら家庭によって1日の洗濯の量も洗濯の回数も異なるし、洗濯物に常にアイロンが必要なのか不必要なのか、
また収納場所は1ヶ所なのか、全ての部屋に振り分けて収納するのかなども家庭によってバラバラだからです。
自分達の生活のリズム、動線をじっくりと考えて生活の距離間を考えていきましょう。

このようにさまざまな距離感がありますが、全ての人にとって居心地の良い距離感という事は難しいと思います、
しかしその距離感を真剣に考えて家づくりをしていくとストレスの少ない幸せな暮らしがおくれる事でしょう。