「潮風と暮らす」

潮風を感じながら暮らす。とても素敵なイメージが湧く言葉です。
それでは、ここ湘南での実際の潮風との暮らしとはどうでしょうか。

湘南に遊びにきた人が海に近づいてくると、「海の匂いがする」と言います。
そして海の匂いを感じてワクワクしたりする事でしょう。

しかし残念な事に湘南で家づくりをしている私は、「あー今日は南風かぁ」となってしまいます。
潮風を感じるエリアで家を建てる時には、使い勝手だけではなく塩害の事も考えて
エアコンの室外機や給湯器の位置を決めないといけません。

また風も内陸に比べて強く吹く事が多いので、本来なら南に向かって上がっていく勾配天井を造りたい所でも、
南(海)に向かって下がる屋根勾配にした方が良い時もあります。
それは海からの強風に立ち向かうのではなく、風を受け流す事で台風等の時に家が揺れたり、
きしんだりする事を抑えられるからです。人と同じで家も耐える事ばかりしていては疲れてしまいます。
さまざまな事を受け流す事も人生には必要な事だと私は思います(笑)

さらに建築中の現場では職人達の道具が錆びてしまうし、現場の窓をきれいにしていても潮でベタベタになってしまいます。
引渡し後の家でも、潮や砂浜から飛んできた砂で網戸や窓の動きが悪くなったり、庭の草木が枯れてしまったりと
さまざまな塩害を想像してしまうからです。

ではなぜそんな大変なのにみんなは「潮風と暮らす」のか、それは不都合とは比べられない幸せがあるからです。
そんな私も常日頃たくさんの人達に塩害が大変と言っておきながらも、実はそんな大変さを楽しんでいる面もあります。
それは古い車を乗っていて「すぐ壊れて困る」とか「部品がなくて大変」「エアコンが付いてないからツライ」
などの事と同じなのかなと思います。

また冬に「寒い、寒い」と言いながらもビーサンで過ごすのも同じ感覚です。
話は少し変わってしまいますが私は20年以上乗っている古いアメ車を所有しているのですが、
自分的には大切にきれいに乗っているつもりでも、人に言わせると「いい感じにヤレてますね」なんて褒められてしまいます。
それも塩害のなせる技でしょう(笑)

不便や不都合を楽しめる、そんな湘南で一緒に塩害のグチを言いつつ「潮風との暮らし」を楽しんでいきましょう!