「環境」について

環境といっても地球環境や自然環境のような大きな問題ではなく自分の身の周りの
『暮らしの環境』について考えてみました。

私事になりますが、私の会社は最近オフィスの移転をしました。
そこで移転した理由や感じたこと、変化のあったことなどについてお話ししていきたいと思います。

まず移転前の旧オフィスについて。旧オフィスは交通の便がいいことや、
お客様に来社していただくのに通り沿いで分かりやすい立地など、
会社としての『環境』は非常に良い場所でした。

しかし建物の中はというと、まず太陽の光が入らない、そして風が抜けないなど、
その室内で一日仕事をする人にとっての『環境』としては、けっして良い建物ではなかったのです。

オープンした当初に想定していた人数では空間に余裕があったので、さほど気にならなかったのですが、
人数が増えていくと他の人のキーボードをたたく音や、今まで気にならなかったコピー機の音など、
いろいろな機械音や生活音などが耳障りに感じるようになりました。
そうなると、みんなが無意識に雑音をシャットアウトする為に、目の前の事に集中しているような感じでした。
一見集中力が上がってとてもいいことのように感じますが、あまりにも一つのことに集中していると、
報告、連絡、相談などのコミュニケーションの部分もシャットアウトしてしまいがちになっていきました。

このような状態が続く『環境』は良くないと感じ、移転を決意しました。
新しいオフィスでは自然にコミュニケーションがとれるような机の配置や動線などを意識したつくりにしました。
そうするとみんなが自然にあいさつや報告事などのコミュニケーションがとれていることに気づきました。
仕事をしている人は、一日の大半を会社の建物の中にいることが多いと思います。
その多くの時間を過ごしていく空間がどのような『環境』かによって仕事にも影響がでるし、
自分自身のストレスにもつながっていく事と思います。

人と人が係わっていく社会では、他の人の行動や言動、態度などによって自分にとっての喜びや感動、
またはストレスや不満などに影響していくことがあります。
しかし自分に影響を与えるその人も『環境』によって言動、態度に変化があります。
住宅も同じで、家族の距離感や、家でどのようなことをして暮らしていきたいのか。

例えばゆっくり読書がしたいのか、プロジェクターを使って大迫力で映画を観たいのか、
ガレージにこもってずっと車やバイクをいじっていたいのか、大勢の友達を呼んで料理をふるまいたいのか、
など人それぞれいろいろな思いがあると思います。

そこで『こんな家に暮らしたい』という気持ちだと、一見満足のいく暮らしが待っているように感じますが、
自分自身が家に合わせて暮らしていくことにだんだんとストレスを感じていくことでしょう。

特に湘南エリアが大好きで海の近くで暮らしたい読者の人達は、一般的な間取りや収納では、
確実に不満を感じると思います。
もしそこにストレスを感じないようであれば、大変な労力を使ってこだわりの注文住宅を建てるよりも、
賃貸住宅の方がむいているかもしれません。

せっかくこだわりの注文住宅を建てるのであれば、『こんな気持ちで、あんなことをして暮らしたい』
とイメージした方が、家族の距離感、収納の配置、趣味の時間の過ごし方などについても、
より良い『環境』ができ上がると思います。

もちろん『環境』には家に使う素材も含まれます。
歩いていて気持ちの良い無垢の床、深呼吸してもきれいな空気、
見ていても飽きない自然の木目なども『環境』の一つです。

そして長持ちする素材を使って劣化の心配が少ない家を建てることも心の『環境』の一つだと思います。
家の『環境』を良くしていくと、人の『環境』も必ず変化していきます。
そうすることで自分の心の『環境』もより良く変化していくことでしょう。

まずは自分の身近なところの『環境』のイメージを膨らましていきましょう。