「図面通りの家とは?」

家を建てる時には、まず先に図面を書いていきます。
そして、その図面通りに職人さん達が現場で家を造っていきますよね。
『そんなの当たり前じゃん!』と言われてしまいそうですが、はたして図面通りに家は造られているのか?
平面図(間取り図)についてはみなさん何となく理解していると思いますが、
立面図や展開図になってくると難しくなっていくでしょう。

建築会社の中には平面図と立面図だけで家を造っている会社も多々あると思います。
はたして平面図と立面図だけでちゃんと図面通りに家を造る事は可能でしょうか?
この2種類の図面では法律的には図面通りの家ができるでしょう。

しかし法律的にあっている家が図面通りの家と言えるでしょうか。
私が家を建てる人によく言う事として
『同じ平面図、立面図でも建築会社や大工さんによってまったく違う家ができる』という事。
なぜ同じ図面でまったく違う家ができるのか不思議に思う人もいると思うので、
少し細かい説明をしていきたいと思います。

例えば、図面に記入されていない事が多いフローリングの向きについて、
貼る方向によって視覚効果で部屋が広く感じたり狭く感じたりする事が有ります。
また無垢フローリングの場合には全ての木目が違うので、1枚1枚木目を考えて貼らないと綺麗な印象になったり、
ワイルドな印象になったりします。

また天井にレッドシダーの板を貼る場合には、レッドシダーの特徴である色の濃淡や木目を考えて貼らないと
シマシマになったり、途中まで白い木が続いて急に濃い色の木が続くなんて事があります。

さらに壁を漆喰や珪藻土などの塗り壁にしたとしましょう。ここでは一応扇のような波模様と記入されていた場合。
人の手による作業なので扇の大きさや波の模様もその職人の感覚によって違ってくるのではないでしょうか。

想像してみてください、フローリングと天井の板貼り、塗り壁だけでも全然違う印象の家になると思いませんか?
大きな部分だけでも上記のような事があります。
細かい部分を考えると図面に記入されていない事は無数に存在する事は理解してもらえたのではないでしょうか。

『図面通りの家はできているのか?』その答えは図面通りではあるけど、
施主の立場ではイメージと同じかどうかは終わってみないと分からないという事です。

このように家を建てる時に必要な図面という物は全ての情報が記入されていたとしても、
自分のイメージとは違う物が出来上がる可能性が多々あります。

このような事があった時に『ちゃんと説明聞いてないから壊して!』なんて言ってしまったら
トラブルに発展してしまいます。
そんな時はすぐに『図面とはあっていると思うけど想像していた物と違うから相談にのって!』
と言えばほとんどの建築会社は何とかしてあげたいと思い、出来る限りの行動をしていくでしょう。

どのようなタイプの家でも、結局家という物は人の手で造り上げていく物です。
施主も建築会社も幸せな気持ちで進めていきたいと思っているはずです。

ぜひみなさんも家を建てる時には図面と自分のイメージの違いを想像しながら進めていきましょう。