海が好きという共通項で結ばれたご主人と奥様。だから、最初は南国の香りがするようなそんな家にしたいと思っていました。
多分、家づくりにおける最初のターニングポイントは1階の「土間」。古くて味のあるビンテージの車やバイクが好きなご主人が、奥にある庭にバイクを置くことができるように、と思い、1階を縦断するように作られた土間のあるプランを提案しました。最初は、Sさんご夫妻、その土間プランに戸惑いを隠せなかったそうです。しかしよくよく考えてみると、「これはこれで使いやすいのでは?」と考えるようになり、この土間プランを採用。ここから、1階がいっぺんに「和一色」になりました。藤沢にある古道具屋で購入した、建具を窓枠や部屋やトイレの戸に使ったり、壁には、昔の蔵の雰囲気もするような、土壁を塗ったり、縁側のような上がりかまちを作ったり。所々に置かれたレトロなインテリアや照明、そして、1階に作られた土間と、それらの建具の雰囲気が相まって、それはまるで京都の町屋のよう。「風情」という言葉がぴったりはまる、日本人なら、老若男女問わずどこか懐かしい気持ちになるような空間になりました。
2階に上がると、そこは1階とはうって変わって、南国の香り漂う、モダンな雰囲気。そう、この2階には、最初の希望である南国の空気が再現されているのでした。広いリビングと、続きになったウッドデッキ。光と風をめいっぱい取り込んで、部屋に飾ったモンステラもとっても気持ちよさそう。
ご主人は、車やバイクが大好き、という事で、S邸を建てる時の大きな希望のひとつがビルトインガレージ。ガレージの大きさは、メンテナンスがしやすいようにちょっと大きめ。さらにsolasioの提案で、車の下にはメンテナンス用のピットも出来ました。
この家に住むようになってから、前よりももっと古くて味のある和のものに心惹かれるようになったというおふたり。休みの日には、近くでやっている骨董市にも出かけるのだとか。そうそう、元々は白い木張りのアメリカンな外観にしようと思っていたものが、最終的には木の質感をそのまま生かした、茶色い木張りの外観になった事も、「和のもの」に惹かれるようになった事と無関係でないかもしれません。