藤沢O邸 人が集まるハッピーリタイアメントハウス

一組の建築家夫婦を追ったドキュメンタリー映画「人生フルーツ」。その建築家の哲学・家・街に対する想いを見て、住まいを作ろうと決めたOさん。
人生フルーツに出てくる主人公の建築家が風の流れについて話していたのが印象的だったというOさんは、ご自宅のリフォームを計画するに際して、風が気持ちよく抜けて、自然と人が集まってくるような家にすることを希望しました。デザインコンセプトはモダンな古民家。外壁には板張りの黒い焼杉を使い、伝統とモダンを兼ね備えたデザインを実現。
リビングに繋がる掃き出し窓の前に広がる大きなウッドデッキはまさにアウトドアリビングという言葉がピッタリ。LDKのフローリングとウッドデッキには同じ屋久島地杉を使用、同じ素材にする事で中と外の一体感をより表現しました。ウッドデッキは元々縁側だった場所。日向ぼっこをしながらのんびりするという縁側のイメージをさらに広げ家族や親戚がみんなで団欒できる場所ができました。
ひさしの奥行きを広くして雨や日差しから守ってくれるというのもこのウッドデッキの良いところ。玄関に入ると大きなホールが広がります。まるで壁から自生してきたかのように作られた手すりは、遊びゴコロが感じられる意匠デザインと使い勝手を両立させました。
玄関ホールを抜けた先にはこの家のメインスペースであるLDK。コンセプトでもある古民家のような空間は、これまでの家で使われていた梁を現しにしてそのまま使い、その梁に合わせて太鼓張りの梁を更にプラスすることによって空間に力強さを与えています。
壁掛けテレビの下に設えたカウンターには、solasio材木ツアーで探してきた霧島杉の一枚板を使用。トイレの中にもそれと同じ一枚板がカウンターとして使われています。ひと際目を引く大きなモールテックスのアイランドキッチンはリビング側に設えた前面扉に宇宙をイメージした濃紺の和紙を貼ることによって和の雰囲気を出すと同時に、この広々としたLDKの中にポイントを与えて空間が間延びしないようにとの工夫もしました。
以前住んでいた家に畳が無かったので、LDKの一部には掘りごたつ付きの畳の小上がりスペースを設けました。
リビングの窓からの景色もこの家のポイントのひとつ。ウッドデッキでは〝Oさんの息子さん家族が食事をし、その向こうに見えるのは桜の木。砂場ではお孫さんが遊んでいる”そんな景色を思い浮かべながらこのLDKを設計しました。仕事人間で職場ではプライベートな事をあまり話さなかったというOさんでしたが、この家に住みだしてからは、家の話を会社で話すようになって、部下の皆さんにもビックリされたんだとか。
そのくらいこの家を気にいってくださったOさん。もうすぐ仕事を引退するOさんのハッピーリタイアメントハウスが出来上がりました。

施主様からの要望

・人が集まる家
・風が抜ける家

コンセプト

・人が集まるハッピーリタイアハウス

設計のポイント

・LDKはもちろん、ウッドデッキや庭などで遊ぶゲストたちの姿まで想像しながら設計を行いました
・ウッドデッキに抜ける窓は大きな窓をセレクトして、風はもちろん景色までもが抜けるように工夫しました